居酒屋などで生ビールを注文した時、凍ったジョッキで登場すると、
キンキンに冷えたビールが飲めると思って「ヨッシャー!」と喜んでいたものです。
ところで凍ったジョッキで飲むビールは本当に美味しくなっているのでしょうか?
答えはNOです。
もちろん凍ったジョッキで冷えたビールを飲むことを否定するわけではありません。
見た目で美味しく感じることもありますし、喉が渇いたときに冷たいビールは最高に美味しく感じるものです。
何より僕自身が凍ったジョッキを見てテンションが上がっていたもの。
ただビールの味という意味では劣化してしまうことがあるので要注意。
その理由と最適な温度について紹介していきます。
ジョッキが凍っているとビールの味が落ちる
凍っているジョッキにビールを注いだ瞬間、ビールの味は落ちてしまいます。
なぜなら凍ったジョッキとビールが接触した瞬間にビールが凍ってしまうから。
ビールが凍ると味に変化が起きてしまうんです。
さらにビールがジョッキで冷やされることで、ビール全体が適正温度を下回ってしまうことでも味が落ちます。
また凍ったジョッキは結露が起きやすくなっています。
するとその水滴が原因で、泡の発生状態にムラが生じてしまい、きれいな泡が作り出せなくなってしまうんです。
もちろん冷えたジョッキはビールを美味しく味わわせてくれます。
ですが冷やし過ぎは禁物です。
ジョッキやグラスは冷凍庫ではなく冷蔵庫で冷やして、美味しいビールを楽しみましょう。
冷凍庫や冷蔵庫で冷やし過ぎるのもNG!「寒冷混濁」と「凍結混濁」
凍ったジョッキだけでなく、ビール自体を冷蔵庫や冷凍庫で冷やし過ぎるのこともビールの味を低下させてしまいます。
ビールを3℃以下にすると「寒冷混濁」という現象が発生して味が低下します。
寒冷混濁とは
ビールが3℃を下まわると、タンパク質や炭水化物の成分が結合していきます。
その結果、にごりが発生してしまうことがあるんです。
このことを「寒冷混濁」といいます。
ビール中の成分が凝結したものなので、体に害はありません。
しかし、ビール本来のおいしさが失われてしまいます。
また泡立ちも悪くなるので、見た目のおいしさも半減。
ビールの美味しさを保つという、泡の役割も果たせなくなってしまうんです。
もっと冷やして凍結させてしまうと「凍結混濁」という現象が発生し、さらに味が低下してしまいます。
凍結混濁とは
冷やし過ぎるのどころか凍結させてしまうことで、さらにビールの味は低下してしまいます。
ビールはまず水分から凍りはじめていきます。
その際に、ビールのエキス分が濃縮されていきます。
するともやもやしたように見える「おり」が出てしまい、ビールがにごってしまうんです。
これが「凍結混濁」とよばれるものです。
飲んでも問題はありませんが、美味しくなくなってしまいます。
それでは、とければ元に戻ってくれるのでしょうか?
残念ながら元には戻りません。
とけてもにごりは残ったままになってしまいます。
さらには、味も大きく損なってしまいます。
凍ったビールがとけるときは、まずビールの濃い部分から先にとけていきます。
濃い部分は比重が重いので、缶や瓶などの容器の下の方にたまっていきます。
続いてビールの薄い部分がとけていき、それが容器の上の方に集まります。
凍ってしまったビールを飲んで味が薄くなったように感じた経験がありませんか?
それはビールがとける過程で、容器の下の方が濃くなり、上の方が薄くなるというようにムラができてしまうからなんです。
せっかくのビールが寒冷混濁や凍結混濁にならないよう、冷やし過ぎには気をつけましょう。
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スタイル別 ビールの適温
ここまでビールを冷やしすぎると味を損なうことについて紹介してきました。
ではビールを美味しく味わうために、どのぐらいの温度が適温なのかについて紹介していきます。
もちろん好みは人それぞれ違いますから、あなたがビールを楽しむための参考程度になれば幸いです。
ビールの適温は、そのスタイルによって異なります。
例えば一般的なピルスナーであれば6~8℃が適温だといわれています。
日本でメジャーなビールのほとんどがピルスナー。(スーパードライ、一番搾り、黒ラベルなど)
適度な苦みと爽快なのどごしを楽しむには、冷やしすぎるよりもこのぐらいの温度が本来の味わいを楽しめます。
これに対し、ペールエールの適温は13℃。(よなよなエールなど)
ピルスナーと同じように冷やしていしまうと、ペールエール本来の香りが失われてしまい美味しく味わうことができなくなってしまうんです。
13℃にすることで香りの広がりが全く変わり、本来のペールエール本来の美味しさを味わうことができます。
このように、ビール本来の美味しさを味わうには、そのスタイルに合った適温があるんです。
もし今まで適温で味わっていなかったのであれば、是非一度試してみてください。
きっと美味しさの違いを感じることができることでしょう。
ビールのスタイル | ビールの適温 |
ピルスナー | 6~8℃ |
ペールエール | 13℃ |
ヴァイツェン | 10~12℃ |
IPA | 10~13℃ |
デュンケル | 9℃ |
ケルシュ | 10~12℃ |
ホワイトエール | 10℃ |
ストロングエール | 10~13℃ |
バーレイワイン | 16℃ |
ブラウンエール | 13℃ |
ポーター | 12~14℃ |
アメリカンラガー | 5~7℃ |
ウインナービール | 9℃ |
ドッペルボック | 8~10℃ |
ビールを適温にする方法
スタイルごとの適温は紹介した通りですが、どうやって適温にしたら良いのでしょうか?
その方法について紹介します。
ピルスナーやアメリカンラガーなど5~8℃が飲み頃のビールは、家庭用の冷蔵庫で3~4時間程度冷やすと適温になります。
ヴァイツェンやIPAなどのエールビールは、新聞紙などでくるんで、冷蔵庫でも庫内温度の高い野菜室などで保管しましょう。
ペールエールやバーレイワインなど適温が13℃以上のビールは、冷蔵庫から出して少し放置してから飲むようにしましょう。
また冬場であれば、暖房を使っていない部屋に置いておくだけで、冷やし過ぎずに適温にすることもできます。(部屋の温度は確認してくださいね。)
また、急いでビールを冷やしたいということであれば、氷水につけるとか、濡れたキッチンペーパーでくるんで冷蔵庫に入れる等といった急速に冷やす方法もあります。
急いで冷やしたくても、冷凍庫で冷やすのは控えましょう。
先ほど紹介した凍結混濁で味が落ちるだけでなく危険だからです。
ビールが凍るときに膨張することで、缶や瓶が破裂してしまうことがあります。
たとえ怪我をしなかったとしても、冷凍庫内はビールまみれになって悲惨な状態になります。
ここまで、ビールのスタイルに合った適温にする方法を紹介してきました。
あなたのライフスタイルに合った方法で、適温のビールを楽しみましょう!
まとめ
ジョッキを凍らせたり、ビールを冷やし過ぎると、ビール本来の美味しさを味わうことができなくなってしまいます。
ビールにはスタイルに合った適温があります。
ビールの美味しさを満喫するために、是非適温で味わってみましょう。
もちろん好みがありますので、適温よりも冷やした方が美味しく感じるのであればそれもOKです。
あなたの好みに合ったビールの温度を見つけるために、この記事の内容がお役に立てたら幸いです。
お互い大好きなビールを美味しく楽しみましょう!