清酒酵母だけで醸した「華灯」が世界大会で金賞2つ。funs brewingが瓶と樽の両部門でカテゴリーチャンピオン
ビールはビール酵母で発酵させる。当たり前に思える前提を外した一本が、世界大会で金賞を2つ取りました。
大阪の株式会社funs brewingが造る「華灯(はなび)」です。
日本酒造りに使う清酒酵母だけで発酵させたクラフトビールで、ビール酵母は使っていません。
受賞したのはインターナショナル・ビアカップ2026です。
瓶・缶の部門と樽の部門で、それぞれ金賞を取りました。
この記事は、こんなことを知りたいあなた向けです。
- 清酒酵母だけで造るとビールはどう変わるのか
- どんな大会で、どんな賞を取ったのか
- 2種類ある「華灯」の違いはどこか
- ほかにも清酒酵母のビールはあるのか
読み終えるころには、日本酒とビールの境目にある一本のことがわかります。
目次
清酒酵母だけで醸したビールが世界大会で金賞を2つ取った

ビールの発酵に使う酵母は、ふつうビール酵母です。
エール酵母とラガー酵母に大きく分かれ、どちらを選ぶかでスタイルが決まります。
「華灯」は、どちらも使いません。
日本酒を造るときに使う清酒酵母だけで、麦汁を発酵させています。
造っているのは大阪市中央区の株式会社funs brewingです。
代表は島尾智志さんが務めます。
funs brewingは「華灯」を、特別な日の乾杯専用クラフトビールと位置づけています。
目指したのは、日本酒とビールのそれぞれの魅力が自然に重なり合う味わいです。
グラスに注いだ瞬間に立つのは、大吟醸のような芳醇な香りだと説明されています。
日本酒が好きな人にも、ワインが好きな人にも試してほしい一杯だ、という案内がされています。
瓶と樽の両方で金賞。さらにカテゴリーチャンピオンも2つ

インターナショナル・ビアカップは、世界五大ビール審査会のひとつに数えられる品評会です。
2026年の大会は羽田のCONGRÈS SQUARE HANEDAで開かれました。
出品したのは日本を含む25の国と地域です。
オーストラリア、ベルギー、チリ、中国、デンマーク、フランス、ドイツ、香港、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、シンガポール、韓国、スペイン、スイス、台湾、タイ、イギリス、アメリカ、ベトナムが名を連ねました。
「華灯」は2種類が出品され、両方が金賞を取りました。
| 出品した銘柄 | 部門 | 結果 | Japan Originカテゴリー |
|---|---|---|---|
| 華灯 1st(度数9%) | 21 – Sake Yeast Beer/瓶・缶 | 金賞 | カテゴリーチャンピオン(出品24点) |
| 華灯 2nd(度数5%) | 21 – Sake Yeast Beer/樽 | 金賞 | カテゴリーチャンピオン(出品16点) |
※主催者が公開している受賞一覧とカテゴリーチャンピオン一覧による
金賞は、ビアスタイルごとに最も評価された銘柄に贈られます。
カテゴリーチャンピオンは、近いスタイルをまとめたカテゴリーのなかで、金賞のなかからさらに1銘柄だけ選ばれる賞です。
「華灯」が入ったのはJapan Originというカテゴリーでした。
日本で生まれたスタイルを集めた枠で、Sake Yeast Beerのほかに発泡酒なども含まれます。
瓶・缶の部門ではJapan Originに24点、樽の部門では16点が出品されました。
どちらの枠でも頂点に立ったことになります。
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使ったのは三重県が開発した清酒酵母「BMK3」

清酒酵母でビールを造るのは、思いつきで始められることではありません。
麦汁に含まれるマルトースという糖を、清酒酵母は十分に発酵しにくいという壁があるためです。
壁を越えるために使われたのが、三重県工業研究所が開発した清酒酵母「BMK3」でした。
吟醸酒向けの酵母「MK3」をもとに、麦汁への発酵能力を高めた酵母だと説明されています。
もとが吟醸酒向けの酵母なので、香りの方向も吟醸酒に寄ります。
大吟醸のような芳醇な香りが立つのは、酵母の素性がそのまま出ているからです。
funs brewingは「希少な酵母を利用することで、ようやく形にすることができました」と書いています。
酵母が手に入らなければ成立しない造り方だ、ということになります。
度数9%と5%の2種類。苦みはどちらもIBU5

「華灯」は2種類あります。
度数の違いで、飲む場面が変わります。
| 銘柄 | スタイル | アルコール分 | IBU | 容量 |
|---|---|---|---|---|
| 華灯 1st(Strong) | Sake Yeast Beer | 9% | 5 | 瓶330ml |
| 華灯 2nd(Light) | Sake Yeast Beer | 5% | 5 | 瓶330ml |
※funs brewingの公式オンラインショップの表示による
目を引くのはIBUの低さです。
IBUは苦みの指標で、ピルスナーなら20から40あたり、IPAなら40を超えることが珍しくありません。
「華灯」はどちらも5です。
ホップの苦みをほとんど立てず、酵母が生む香りと味わいで組み立てていることが数値から読み取れます。
度数9%の1stは、ビールとしてはかなり強い部類に入ります。
乾杯の一杯というより、少しずつ時間をかけて飲む設計です。
度数5%の2ndは、一般的なビールと同じ水準です。
清酒酵母の香りを、ふだんの一杯の濃さで試せます。
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清酒酵母のビールは日本だけの動きではない

Sake Yeast Beerという部門が大会に置かれていること自体が、造り手が増えてきた証拠です。
「華灯」のほかにも、同じ部門で賞を取った銘柄があります。
| 部門 | 金賞 | 銀賞 | 銅賞 |
|---|---|---|---|
| 瓶・缶 | 華灯 1st(funs brewing) | koganetohakuginn with sake yeast(minokamobeer) | Buckskin SAKE beer(台湾) |
| 樽 | 華灯 2nd(funs brewing) | Kisui Wajyo(CRAFT BEER BASE) | UTSUROI(Yellow Monkey Brewing) |
※主催者が公開している受賞一覧による
銅賞に入ったBuckskin SAKE beerは台湾の醸造所の一本でした。
清酒酵母を使うビールは、日本の中だけで回っている話ではなくなっています。
世界の審査会に「Sake Yeast Beer」という名前の部門があり、瓶・缶と樽で別々に審査される。
造る醸造所が一定数まで増えないと、部門は分かれません。
当サイトでも、清酒酵母を使う銘柄をいくつか紹介してきました。
米と県の酵母で仕込む福島の一本や、米麹と清酒酵母で仕込む山形のヴァイツェンが挙げられます。
ただし、ほとんどは麦芽とビール酵母を土台にしたうえで清酒酵母を組み合わせる造り方です。
ビール酵母を使わず清酒酵母だけで仕上げる「華灯」は、同じ括りのなかでも踏み込んだ位置にいます。
このビールがおすすめな人

「華灯」が向いているのは、日本酒が好きな人です。
大吟醸のような香りが立つので、ふだん日本酒を選ぶ人ほど違いがわかります。
苦いビールが苦手な人にも向きます。
IBU5はホップの苦みをほとんど感じない水準なので、苦みを理由にビールを避けてきた人でも入りやすい一本です。
贈りものを探している人にも使えます。
特別な日の乾杯専用という位置づけで、330mlの瓶3本セットで売られています。
反対に、ホップの香りと苦みを求める人には合いません。
香りの主役が酵母なので、ホップを楽しみたいならIPAやペールエールを選ぶほうが早いです。
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まとめ

「華灯」は、清酒酵母だけで醸したビールが世界大会で頂点に立った一本です。
- 造り手は大阪市中央区の株式会社funs brewing。代表は島尾智志さん
- ビール酵母を使わず、清酒酵母だけで麦汁を発酵させている
- 使う酵母は三重県工業研究所が開発した「BMK3」。吟醸酒向けのMK3がもと
- インターナショナル・ビアカップ2026のSake Yeast Beer部門で、瓶・缶と樽の両方で金賞
- どちらもJapan Originカテゴリーのチャンピオンに選ばれた
- 華灯 1stは度数9%、2ndは度数5%。IBUはどちらも5で、苦みはほとんどない
- 瓶は330ml。同じ部門には台湾の醸造所も入賞している
日本酒とビールの境目を、酵母の側から動かした一本です。
大好きなビールを存分に楽しみましょう。
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