ビールを造ると、麦芽の粕や排水といった副産物が必ず出ます。

出てきた副産物を、細胞を育てる栄養液の原料に使う取り組みが始まります。クラフトビール「COEDO」を造る協同商事と、細胞農業のインテグリカルチャーによる共創プロジェクトです。

プロジェクトの名前は「ビールからタンパク食をつくる。~ビール醸造産物の細胞農業への活用~」になります。

埼玉県のオープンイノベーションプログラムに採択され、2027年1月まで検証が進みます。

この記事は、こんなことを知りたいあなた向けです。

  • 何をするプロジェクトなのか
  • 培地が何なのか
  • なぜビールの副産物を使うのか
  • いつ結果が出るのか

読み終えるころには、ビール造りの副産物が何に化けようとしているのかがわかります。

ビール醸造の副産物を細胞培養の培地にする

ビール醸造の副産物を細胞培養の培地にする
※画像はイメージです

使うのは、ビールを造る過程で生まれる醸造産物です。狙いは、細胞を育てる栄養液である培地の原料に変えることになります。

細胞農業は、動物を育てる代わりに細胞を培養して食べ物をつくる技術です。細胞を増やすには、栄養を溶かした液に浸して育てる必要があります。

液のことを培地と呼びます。

項目内容
プロジェクト名ビールからタンパク食をつくる。~ビール醸造産物の細胞農業への活用~
主管協同商事(埼玉県川越市)
組む相手インテグリカルチャー株式会社(神奈川県藤沢市)
使うものビール醸造の過程で生まれる醸造産物
用途細胞を育てる培地の原料
採択埼玉県「渋沢MIX オープンイノベーションプログラム『Canvas』」インキュベーションプログラム
検証期間2027年1月まで

※インテグリカルチャーが2026年10月21日に発表した内容による

採択は2026年度の15件のうちの1件です。両社をつないだのは、どちらも関わりのある埼玉の地になります。

培地の値段が細胞農業の壁になっている

培地の値段が細胞農業の壁になっている
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なぜビールの副産物が求められるのか。理由は値段です。

細胞農業では、生産にかかる費用の大半を培地が占めるとされています。細胞を増やすのに液が大量に要るためです。

安くて安全な原料が見つからないかぎり、値段は下がりません。

探されているのは、食品に由来する原料です。インテグリカルチャーは酒粕など、日本の発酵副産物を培地に活かす研究開発を進めてきました。

ビールの醸造産物も、発酵から出てくる食品由来の副産物です。酒粕と同じ筋で、培地の原料になる見込みが立てられています。

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COEDOは副産物を地域と農業へ返してきた

COEDOは副産物を地域と農業へ返してきた
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協同商事は、埼玉県川越市に本社を置く会社です。設立は1982年8月、代表取締役社長は朝霧重治さんになります。

1970年代から有機農業の推進に携わってきた会社で、青果物の卸売や物流からビールの製造まで手がけます。クラフトビール「COEDO」は国内外で売られています。

麦芽粕を飼料にし、排水からバイオガスを回収してきた

醸造の副産物を地域と農業へ返す取り組みは、今回が初めてではありません。

  • 麦芽粕を飼料にする
  • 排水からバイオガスを回収する
  • 汚泥をたい肥にする

2026年には、日本の酒類業界で初めて国際認証「B Corp」を取得したとしています。培地への活用は、同じ流れの先にある話になります。

検証は2027年1月まで、報告は2027年2月ごろ

検証は2027年1月まで、報告は2027年2月ごろ
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検証が進むのは2027年1月までです。成果の報告は、2027年2月ごろに開かれる渋沢MIXの成果発表会で行われる予定になります。

掲げているのは、醸造の現場から「何から、どこで、誰がつくったのか」を語れる細胞農業のかたちを探ることです。

材料の出どころが見える食べ物をつくる、という方向になります。

インテグリカルチャーは2015年10月の設立で、大規模細胞培養の基盤技術「CulNet System」を軸にしています。掲げているのは「みんなが使える細胞農業」です。

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誰に関係があるか

誰に関係があるか
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いちばん関係があるのは、ビール造りの環境への向き合い方に関心がある人です。

麦芽粕の飼料化や排水からのバイオガス回収に続く取り組みで、副産物の使い道がまた1つ増えることになります。

食べ物の出どころを気にする人にも関係があります。

掲げているのは、何から、どこで、誰がつくったのかを語れる細胞農業です。

COEDOを飲んでいる人にも関係があります。

飲んだあとに残る副産物が、どこへ行くのかという話になります。

反対に、新しい商品を待っている人には関係がありません。

今回の発表は商品ではなく、2027年1月まで続く検証の話です。

まとめ

まとめ
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COEDOとインテグリカルチャーの共創プロジェクトについてまとめます。

  • ビール醸造の過程で生まれる副産物を、細胞を育てる培地の原料に活かす取り組み
  • 主管は協同商事(埼玉県川越市)、組む相手はインテグリカルチャー(神奈川県藤沢市)
  • 埼玉県「渋沢MIX オープンイノベーションプログラム『Canvas』」に採択。2026年度の15件のうちの1件
  • 細胞農業では培地が生産費用の大半を占めるとされ、安くて安全な食品由来の原料が求められている
  • インテグリカルチャーは酒粕など日本の発酵副産物を培地に活かす研究開発を進めてきた
  • 協同商事は麦芽粕の飼料化、排水からのバイオガス回収、汚泥のたい肥化に取り組んできた
  • 2026年に日本の酒類業界で初めて国際認証「B Corp」を取得したとしている
  • 検証は2027年1月まで。成果の報告は2027年2月ごろの渋沢MIX成果発表会で行われる予定

ビールの副産物の使い道は、飼料やたい肥といった農業の内側で完結することが多いものです。細胞を育てる液の原料という使い道は、農業の外へ出ていく話になります。

醸造の現場から、食べ物のつくり方そのものへ回る話になります。

2027年2月の報告を待ちながら、1杯味わってみてください。

大好きなビールを存分に楽しみましょう。

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