福島県いわき市の川前町は、かつて林業で賑わった山あいの町です。

今は過疎化が進み、人口は最盛期の5分の1ほどになりました。

川前町の耕作放棄地に、約800平方メートルのホップと大麦の畑があります。

育てているのは、清流のそばの元食堂を改築した醸造所、SANDi BREWERYです。

代表の三戸大輔さんは、震災後にいわきの住宅メーカーで働いていた人。

建設ラッシュが過ぎて契約が途絶えたとき、自分を責めて心をすり減らし、仕事を辞めて日本一周の旅に出ました。

この記事は次のことを知りたいあなたに向けて書きました。

  • SANDi BREWERYはどんな醸造所なのか
  • 造り手はどんな道のりでビールにたどり着いたのか
  • なぜ川前町で大麦とホップを育てているのか
  • どんな銘柄があるのか
  • 訪ねるにはどうすればよいのか

読み終えるころには、SANDi BREWERYの成り立ちと味、そして味わえる場所がわかります。

SANDi BREWERYとは

SANDi BREWERYとは

SANDi BREWERYは、福島県いわき市川前町で2025年2月にオープンしたクラフトビール醸造所です。

代表は三戸大輔さん。三戸さんの愛称である「サンディ」が、そのままブルワリー名になっています。

建物は、清流のそばに建つ元食堂の空き家を改築したもの。

醸造タンクは小型が4基で、少量多品種の造りができる体制です。

原料のホップと大麦は、川前町の耕作放棄地で自ら栽培しています。

一般販売が始まったのは2025年5月からです。

掲げているのは「いわき市川前発、世界行き」。ふるさといわきを代表するクラフトビールを目指しています。

名称 SANDi BREWERY(サンディ・ブルワリー)
所在地 福島県いわき市川前町下桶売字藪ノ上130
オープン 2025年2月
一般販売の開始 2025年5月
代表 三戸 大輔(サンディ)
醸造設備 小型醸造タンク4基
自社畑 約800平方メートル(ホップ・大麦)
建物 元食堂の空き家を改築
公式サイト sandi.beer

SANDi BREWERY 3つの特徴

SANDi BREWERY 3つの特徴

造り手の道のりにも、原料の集め方にも、地域との関わり方にも背景があります。

3つの特徴に分けて紹介します。

特徴1:日本一周からインド放浪、ドイツでの飛び込み修行

三戸さんは震災後、いわきの住宅メーカーに勤めていました。

目が回るような建設ラッシュが過ぎると契約がぱたりと取れなくなり、自分を責めて精神的に疲弊します。

自分を見つめ直すため仕事を辞め、日本一周の旅へ。

沖縄のゲストハウスで、タイから帰国したばかりの20歳ほどの女性に感化され、今度は海外へ出ます。

タイから陸路でインドまで放浪。

インドのゲストハウスで会った日本人にオーストラリアのワーキングホリデー制度の話を聞き、旅を続けるチャンスだとビザを申請しました。

オーストラリアではバナナ農園で働きながら生活。

スーパーで偶然見かけた「ホームブリューキット」を興味本位で買い、初めてビールを醸造します。

シェアハウスのメンバーに振る舞ったところ「おいしい」と大盛り上がり。

シェアハウスでの一件をきっかけに、ビール造りへ没頭していきました。

本場で学びたいと、再びワーキングホリデー制度を使ってドイツのベルリンへ。

ところが市内の醸造所を回って直談判するも、ほぼ全滅でした。

断られ続けた末に、偶然、建設中のブルワリーを見つけて飛び込みで頼み込みます。「給料は出せないけど、インターンシップなら働いていい」。無給から始まった修行はやがて給料の出る別の醸造所へとつながり、ドイツで合計1年を過ごしました。

特徴2:住民と会をつくり、耕作放棄地に約800平方メートルの畑を拓いた

帰国後は醸造所の起業の仕方を学ぶため広島県福山市へ。

福山で出会った岡山県の人から、地域おこし協力隊制度を使って醸造所を開業した話を聞きます。

2020年6月、いわき市川前町の地域おこし協力隊に着任。

1年目は地域への挨拶回りから始め、クラフトビールで町を盛り上げたいと発信を続けました。

住民に説明会を開いて理解を得ながら、「ビールの里川前プロジェクト推進会」を設立。

町の課題だった耕作放棄地を活用し、約800平方メートルのホップと大麦の畑を拓きました。

育てているホップは2種類。柑橘系の爽やかな香りが特徴のカスケードと、心地よい苦みとハーバルな香りが特徴のハラタウです。ホップの栽培は今も町の人たちが手伝っています。

特徴3:クラウドファンディングで目標の353%を集めた

設備の完成に向けて、2024年9月にクラウドファンディングを実施しました。

目標金額100万円に対し、達成率353%を記録しています。

川前町の人口は最盛期の5分の1にまで減っています。過疎の進む町のビールに、目標の3倍を超える支援が集まりました。

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3つの意味を込めた「KAWAMALE」2種類の味わい

3つの意味を込めた「KAWAMALE」2種類の味わい

代表銘柄は「KAWAMALE(カワマエール)」。

川前町で自ら栽培したホップと大麦を使ったビールです。

名前には3つの意味が込められています。

地名の「川前」、ビールの種類の「エール」、そして応援を意味する「エール」。

ラベルには川前町を代表するスポットが描かれています。

2025年5月から一般販売が始まり、現在は2種類あります。

KAWAMALE アメリカンスタイルエール:カスケードで仕込む柑橘の一本

自社畑で育てたホップ「カスケード」を使ったアメリカンスタイルエールです。

柑橘系のフレーバーと苦味が特徴で、飲みごたえのある味わいになります。

大麦も川前産。原料を自分たちで育てたビールです。

ビアスタイル アメリカンスタイルエール
ホップ カスケード(自社栽培)
原料 川前産のホップ・大麦

項目 評価
コク ★★★☆☆
キレ ★★★☆☆
苦み ★★★★☆
酸味 ★★☆☆☆
甘み ★★☆☆☆

KAWAMALE ベルジャンセゾンスタイルエール:ハラタウのスパイシーな一本

自社畑のホップ「ハラタウ」を使ったベルジャンセゾンスタイルエールです。

ほんのりスパイシーで、すっきりとした味わいが楽しめます。

同じ畑のホップでも、品種を変えることで方向のまったく違う2本になります。

ビアスタイル ベルジャンセゾンスタイルエール
ホップ ハラタウ(自社栽培)
原料 川前産のホップ・大麦

項目 評価
コク ★★☆☆☆
キレ ★★★★☆
苦み ★★★☆☆
酸味 ★★★☆☆
甘み ★★☆☆☆

小型タンク4基という設備を生かし、オーダーメイド醸造も手がけています。

市内企業の依頼で造った「チャコちゃん農園」のブルーベリーを使ったオリジナルビールは好評だったそうです。

三戸さんは「少量生産だからこそ、失敗を恐れず色々なビール造りを試せる」と語っています。今後はいわき産の果物を使ったビールにも挑戦したいとのことです。

川前町の醸造所を訪ねる

川前町の醸造所を訪ねる

醸造所があるのは、川前の森に囲まれた清流のそばです。

いわき市中心部から車で約1時間、郡山と白河からは約1時間30分かかります。

JR常磐線のいわき駅から約1時間。

磐越自動車道の小野インターチェンジで一般道に降りてから30分ほどで到着します。

一部で道幅が狭くなっている箇所があるため、運転には注意が必要です。

訪問には事前の連絡が欠かせません。

突然訪ねると、営業時間中でも醸造作業で対応できないことがあります。公式サイトの問い合わせフォームか、Instagramのダイレクトメッセージで先に連絡してください。

醸造所の情報

名称 SANDi BREWERY
所在地 福島県いわき市川前町下桶売字藪ノ上130
電話番号 070-8424-0978
アクセス JR常磐線いわき駅から車で約1時間/磐越自動車道 小野ICから約30分
訪問 事前連絡が必要(電話・問い合わせフォーム・InstagramのDM)
注意 一部で道幅が狭い箇所があります
公式サイト sandi.beer
公式Instagram @sandibrewery

※2026年9月時点の情報です。営業時間や定休日は変わることがあります。訪問前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。

ブルワリーツアーや醸造体験も受け付けています。希望する場合も、事前に連絡してください。

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SANDi BREWERYを購入する方法

SANDi BREWERYを購入する方法

SANDi BREWERYのビールは、いわき市内を中心とした取扱店で買えます。

公式サイトに、飲める店と買える店の一覧が掲載されています。

醸造所でも購入できますが、事前の連絡が必要です。

いわき市のふるさと納税でも、カワマエールが返礼品になっています。

三戸さんは毎年5月に開かれるイベント「ビア博いわき」の実行委員会にも参加しています。取扱店やイベントの最新情報は公式サイトで確認してください。

まとめ

まとめ

SANDi BREWERYは、福島県いわき市川前町で2025年2月にオープンしたクラフトビール醸造所です。

代表の三戸大輔さんは、震災後の建設ラッシュが去って契約が途絶え、心をすり減らして住宅メーカーを辞めた人。

日本一周の旅から沖縄での出会いを経て、タイから陸路でインドまで放浪しました。

オーストラリアのスーパーで買ったホームブリューキットが、ビール造りの入口でした。

ドイツでは醸造所を回って断られ続け、建設中のブルワリーに飛び込んで無給のインターンから修行を始めています。

2020年からの3年間はいわき市川前町の地域おこし協力隊。

住民と「ビールの里川前プロジェクト推進会」をつくり、耕作放棄地に約800平方メートルのホップと大麦の畑を拓きました。

代表銘柄「KAWAMALE」には、川前・エール・応援のエールという3つの意味が込められています。

自社栽培のカスケードを使うアメリカンスタイルエールと、ハラタウのベルジャンセゾンスタイルエールの2種類があります。

醸造所は川前の森の中、清流のそば。いわき市中心部から車で1時間かかります。

訪ねるなら、必ず事前に連絡してください。

大好きなビールを存分に楽しみましょう。

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