福島県のクラフトビール醸造所まとめ!桃・りんご・自家栽培ホップで醸す個性派ブルワリーを徹底紹介
福島といえば、桃と日本酒。
けれど福島には、ビールの原料であるホップを自分たちで育てる醸造所がいくつもあります。
田村市では契約農家が育てたホップを収穫後すぐに冷凍し、ほぼすべてのビールに使っています。
いわき市川前町では耕作放棄地でホップと大麦を栽培し、玉川村では失われたホップ栽培の復活を目指しています。
二本松市には、麦もホップも自分の畑で作る有機農園の醸造所があります。
原料の畑から手がける造り手が、県産の桃やりんごを掛け合わせる。
生まれるのは、福島でしか飲めないビールです。
吾妻山の雪解け水で仕込むフルーツビール。
磐梯山の水とドイツの製法で造る本格ラガー。
震災で休眠した施設を再生した醸造所の一杯。
どれも、福島の畑と山と歴史がそのまま原料になっています。
「福島にはどんな醸造所があるのだろう?」
「観光のついでに立ち寄れる場所はあるだろうか?」
「福島のビールに合う料理を知りたい」
この記事では、福島県のクラフトビール醸造所をエリア別に紹介します。
醸造所ごとの成り立ちから、福島グルメとのペアリングまで。
読み終えるころには、福島のビール旅の行き先が決まっているはずです。
県北エリアの醸造所

吾妻連峰を望む福島市を中心とした県北エリア。
果樹園が連なる土地柄を映して、桃やりんごを使ったビールが数多く生まれています。
米農家や有機農園が造り手になっているのも、県北ならではの顔ぶれです。
みちのく福島路ビール(福島市)
1997年に醸造を始めた、福島を代表する老舗ブルワリーです。
吾妻山麓を一望するアンナガーデンという丘の上に醸造所があります。
家族で営む小さな造り手として、四半世紀以上ビールを届けてきました。
仕込み水は吾妻山系の雪解けが恵む天然水。
麦芽もホップも酵母も、本場ヨーロッパから厳選して取り寄せています。
看板はフルーツビールです。
使う果物はすべて福島県産で、伊達市の農園があかつき(桃)やふじ(りんご)を撰果しています。
日本地ビール協会が主催するJapan Great Beer Awards 2025では、桃のラガーが銀賞を受賞しました。
工場に併設された「PROST」では、常時6種類のビールを量り売りで買えます。
営業は10時から17時まで、休みは年末年始だけです。
YellowBeerWorks(福島市)
2020年夏、福島市最大規模の米農家が始めたブルワリーです。
運営する株式会社カトウファームは、2009年に夫婦が脱サラして立ち上げた農業法人。
出発点は東日本大震災でした。
中通りの農家として浜通りの被災地にできることを探し、縁あって南相馬市の農地を使わせてもらえることになります。
かつてサーファーで賑わった海沿いの街だから、ビールが似合う。
米作りに加えて、南相馬の農地で大麦とホップを育て始めました。
原料には自社栽培の米や野菜、地元の果物、そして福島産ホップを使います。
農家が造り手を兼ねているからこそできる組み立てです。
掲げているコンセプトは「どんな時も思わずにっこりしちゃうようなビール」。
ラベルのキャラクターは、日本人バンドPEELANDER-Zのメンバーがデザインしています。
大笹生の醸造所に加えて、2022年には福島市大町に「文化通り店」がオープンしました。
季節ごとにフレーバーが変わるため、訪れるたびに違う味に出会えます。
HANDA GINZAN BREWERY(桑折町)
佐渡金山、石見銀山と並ぶ日本三大鉱山のひとつに数えられた半田銀山。
明治には日本一の銀の産出量を記録した鉱山の名を冠したブルワリーが、桑折町の中心部にあります。
併設のダイニング「上町CHEERS」は、町の人が集まる場所になっています。
ビールのブランド名はSOLDER CRAFT。
看板の「半田銀山IPA」は、アメリカ産ホップの香りに福島のりんご果汁を合わせた一杯です。
福島の桃を使った「暁(あかつき)」など、季節の果物を生かした限定醸造も生まれています。
地域の資源を掘り起こし、町の新しい名産をつくる。
醸造所とダイニングは、2本立てで動いています。
ななくさビーヤ(二本松市)
二本松市の有機農園「ななくさ農園」が営む、きわめて小さな醸造所です。
農閑期にあたる冬のあいだ、納屋を改造したブルワリーでビールを造ります。
造り手は、農林水産省のキャリア官僚から35歳で有機農家に転じた関元弘さんです。
地元の素材を生かした「風土の味がする麦酒」づくりを掲げています。
「ふくしまの麦酒 All Fukushima」は、大麦もホップもゆずもすべて福島県産です。
無濾過・非加熱の瓶内二次発酵で仕上げるため、開栓するタイミングによって味わいが変わります。
農園ではビール醸造の体験も受け付けています。
県中エリアの醸造所

郡山市を中心に、阿武隈高地の山あいまで広がる県中エリア。
ホップ栽培に適した冷涼な気候を生かした醸造所が集まっています。
震災で使われなくなった施設を再生した造り手がいるのも、県中エリアの特徴です。
PIRONO BEER(郡山市)
2024年6月にオープンした、郡山市で初めてのクラフトビール醸造所です。
代表の佐藤孝洋さんは、長野県の醸造所でイギリス人の醸造家のもとに約4年6か月学びました。
地元に戻り、お酒の保管庫だった倉庫を改装して開いたのがPIRONO BEERです。
造るのはヨーロッパスタイルの多彩なビール。
オリジナルの銘柄は季節ごとに入れ替わります。
目指しているのは、日常に寄り添う「街のビール屋さん」。
郡山駅の西口から徒歩13分と、旅の途中にも立ち寄れる距離にあります。
ホップジャパン(田村市)
2020年11月、田村市都路町で開業した醸造所です。
原発事故の影響でほぼ休眠状態になっていた公共施設「グリーンパーク都路」を改修して生まれました。
運営する株式会社ホップジャパンは、社名のとおりホップを事業の中心に据えています。
使うのは、あぶくま高地の冷涼な気候と水で育った田村市産のホップ。
ブルワリーから車で20分ほどの契約農家が育て、収穫後すぐに冷凍して、ほぼすべてのビールに使います。
田村産の生ホップを100%使った「Abukuma GREEN」や、摘みたてで仕込む「Abukuma Fresh」が代表格です。
敷地内にはキャンプ場とロッジがあり、郡山にはビアレストラン、いわきにはタップルームも構えています。
ホップ畑からビールを飲む場所まで、一続きにつながっているのが強みです。
あぶくまビール(玉川村)
2022年8月に起業し、乙字ヶ滝のそばにある複合施設「乙な駅たまかわ」で醸造しています。
醸造責任者の和田正樹さんは、玉川村の地域おこし協力隊として村に入った人物です。
玉川村では、かつてホップが栽培されていました。
しかし今は、栽培の技術が失われています。
あぶくまビールは、玉川村でのホップ栽培の再興を掲げて動き始めました。
仕込みは500リットルから1000リットルの小規模。
定番は、軽やかな「乙な麦」(セッションIPA)と、やわらかな口当たりの「乙な小麦」(ホワイトエール)の2種類です。
限定醸造では、玉川村特産の「さるなし」を使ったフルーツエールも登場します。
さるなしはキウイフルーツの近縁種で、幻の果物とも呼ばれる素材です。
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会津エリアの醸造所

磐梯山と猪苗代湖を抱える会津は、水の豊かさで知られる土地です。
平成の名水百選に選ばれた水を使う醸造所もあります。
観光地と重なる場所が多く、旅の途中に立ち寄りやすいのも会津の魅力です。
猪苗代地ビール(猪苗代町)
1997年から猪苗代の地でビールを造り続けている醸造所です。
親正産業株式会社が手がけ、「世界のガラス館 猪苗代店」に併設された猪苗代地ビール館で味わえます。
仕込み水は磐梯山の恵みを受けた清冽な天然水。
麦芽はドイツ・フランケン地方、ホップはホレダウ地方から厳選しています。
副原料を一切使わない、ビール純粋令に基づく伝統的な製法が特徴です。
定番は5種類。
キレのある「ピルスナー」、小麦を使った「ヴァイツェン」、重厚感のある「ゴールデンエンジェル」、香ばしい「ブラウンヴァイツェン」、黒い見た目に反して飲みやすい「ラオホ」が並びます。
300席のビアレストランからは磐梯山を望めます。
自家製ソーセージや焼肉と合わせて楽しめる場所です。
REC CIDER&BEER WORKS(喜多方市)
磐梯山の麓、喜多方市関柴町にある醸造所です。
仕込みに使うのは、平成の名水百選に選ばれた喜多方市の栂峰渓流水。
栂峰渓流水と福島県産のりんごを組み合わせ、ハードサイダーとクラフトビールを造っています。
看板は「ゆらゆらハードサイダー」。
りんごに桃などの果物を掛け合わせた商品も生まれています。
ラーメンの町として知られる喜多方に、新しい味が加わりました。
南会津マウンテンブルーイング(南会津町)
会津田島で木材業を営む関根木材工業の3代目が、2017年にタップルームを開き、翌2018年から醸造を始めた醸造所です。
タップルーム「Beer Fridge」を併設し、2024年からは会津田島駅前の新工場で醸造しています。
製材所があった場所を、ビールを造る場所に変えました。
得意とするのはサワーやセゾン、ペールエール、IPA。
南会津の産物を副原料にした銘柄が多く、トマトを使ったセゾンや、梅のサワー「すっぺ」といった一杯が並びます。
地元の花泉酒造の酒米を使ったゴールデンエールも生まれました。
直売コーナーでは缶のクラフトビールも購入できます。
県南・浜通りエリアの醸造所

那須連峰に近い県南の西郷村と、太平洋に面したいわき市。
どちらも山あいに、ごく小さな醸造所があります。
大量生産をしない造り手だからこそできる、実験的なビールが生まれています。
ハイランドポートブルワリー(西郷村)
2018年7月に誕生した、西郷村のマイクロブルワリーです。
自宅を開放したカフェ「お家パン オブ」の離れの倉庫に、醸造設備が置かれています。
もともとは、奥さまが天然酵母のドイツパンを焼く店から始まりました。
仕込み水は、阿武隈川などの源流の伏流水を汲み上げた井戸水。
麦芽はドイツ産とイギリス産、ホップはドイツ産とアメリカ産を使っています。
ビールは常時7種類から8種類。
カフェは予約制なので、訪ねる前に確認しておくと確実です。
SANDi BREWERY(いわき市)
2025年2月、いわき市川前町にオープンしたマイクロブルワリーです。
代表のサンディさんは、オーストラリアのワーキングホリデー中にクラフトビールと出会いました。
ドイツのベルリンで1年間修行し、帰国後は広島県福山市のブルーイングカレッジ立ち上げに参画。
2020年にいわき市川前地区の地域おこし協力隊となり、卒隊後に醸造所を開きました。
川前町は、かつて林業で賑わった山あいの町です。
今は過疎化が進んでいますが、ビールづくりに欠かせないものを生産していた時期がありました。
SANDi BREWERYは耕作放棄地を活用し、ホップと大麦を自分たちで栽培しています。
ブルワリーツアーや醸造体験も受け付けています。
いわき市中心部から車で約1時間と距離はありますが、訪ねる価値のある場所です。
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福島は醸造家がホップを育てる県

福島のクラフトビールを見ていくと、あることに気づきます。
自分たちでホップを育てている醸造所が、いくつもあるのです。
田村市のホップジャパンは、契約農家が育てた田村市産ホップをほぼすべてのビールに使っています。
いわき市のSANDi BREWERYは、耕作放棄地でホップと大麦を栽培しています。
二本松市のななくさ農園は、麦もホップも自分の畑のものだけを使います。
玉川村のあぶくまビールは、失われたホップ栽培の復活を掲げています。
ホップは輸入するのが当たり前の原料です。
原料を土から作る醸造所が県内の各地で動いている例は、全国を見渡してもそう多くありません。
福島のビールを飲むときは、ラベルに書かれた産地を確かめてみてください。
「田村市産ホップ使用」の一言の裏には、畑と収穫の手間が詰まっています。
福島クラフトビール巡りのポイント

福島県は面積が広く、県北から浜通りまで車で移動する時間もかかります。
エリアを絞って回るほうが、無理のない旅になります。
計画を立てるときに押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
観光地と組み合わせて回る
猪苗代地ビール館は「世界のガラス館 猪苗代店」に併設されています。
みちのく福島路ビールは、教会が丘に点在するアンナガーデンの中にあります。
ホップジャパンの敷地にはキャンプ場とロッジがあります。
観光やアウトドアの予定に組み込みやすい配置になっているのが福島の強みです。
営業日や営業時間は季節によって変わるため、訪問前に公式サイトで確認しましょう。
醸造体験に参加する
二本松市のななくさ農園と、いわき市のSANDi BREWERYは、ビールの醸造体験を受け付けています。
原料の畑を持つ醸造所だからこそ、原料から仕上がりまでを一続きで知ることができます。
少人数で運営している醸造所が多いため、事前の予約は欠かせません。
日程が決まったら早めに問い合わせておきましょう。
通販で取り寄せる
現地まで足を運べない場合も、福島のクラフトビールは楽しめます。
多くの醸造所がオンラインストアを持ち、缶や瓶を届けてくれます。
ふるさと納税の返礼品として登場する銘柄もあります。
気になる醸造所を見つけたら、まずは飲み比べセットから試してみましょう。
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福島のビールに合うおすすめペアリング

福島は、果物も麺もソウルフードも揃った食の宝庫です。
地元の料理と地元のビールを合わせると、どちらの魅力も引き立ちます。
福島ならではの組み合わせを4つ紹介します。
喜多方ラーメン×ピルスナー
平打ちの太い縮れ麺と、あっさりした醤油スープ。
油をあまり使わないスープには、キレのあるピルスナーがよく合います。
喜多方はラーメンの町であり、ハードサイダーの町にもなりました。
いかにんじん×ヴァイツェン
するめとにんじんを醤油やみりんで漬け込む、福島の郷土料理。
するめの旨味と甘辛い味つけには、小麦のまろやかさを持つヴァイツェンが寄り添います。
正月に限らず、日常の酒の肴としても親しまれている一品です。
ソースカツ丼×IPA
会津若松の名物といえば、甘辛いソースをまとったカツを丼にのせたソースカツ丼。
揚げ物とソースの濃さには、ホップの苦みが立つIPAがぴったりです。
口の中をすっきりと切り替えてくれます。
福島の桃×フルーツビール
あかつきをはじめ、福島は全国有数の桃の産地です。
生の桃と、桃を使ったフルーツビールを並べてみてください。
同じ果実から生まれた香りが重なり、果物の輪郭がくっきりと立ち上がります。
まとめ

福島県のクラフトビール醸造所は、県北から会津、浜通りまで各地にあります。
四半世紀続くみちのく福島路ビールや猪苗代地ビール、米農家が始めたYellowBeerWorks。
震災で休眠した施設を再生したホップジャパンや、耕作放棄地でホップを育てるSANDi BREWERYまで、成り立ちは実に多彩です。
共通しているのは、原料を自分の手元に引き寄せようとする姿勢。
自家栽培のホップ、県産の桃とりんご、名水百選の水、地元の酒蔵の酒米。
土地の恵みが、そのままビールの個性になっています。
福島を訪れる機会があれば、ぜひ醸造所に立ち寄ってみてください。
喜多方ラーメンやソースカツ丼とのペアリングも楽しみながら、福島のクラフトビールを存分に味わいましょう。
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