東京都品川区にあるクラフトビールの醸造所を、エリア別に紹介します。

品川区とビールの縁は古く、1869年(明治2年)までさかのぼります。

当時の品川県が、大井村浜川の土佐藩下屋敷跡にビール工場を建てました。いまの東大井、京急立会川駅のあたりです。日本人の手によるビール造りとしては、いちばん早い時期のものでした。

いま品川区で造られているのは、アメリカンスタイルのエール、イギリスの伝統的なエール、そして山梨の醸造所が東京で試す実験的なビールです。

仕込む場所も、運河沿いの倉庫、大崎の工場地区、東急池上線の高架下、商店街の路面店と分かれています。水面を眺めながら座って飲める店もあれば、量り売りで持ち帰れる店もあります。

街が変われば、出てくる一杯も飲み方も変わります。

それでは品川区にある醸造所やクラフトビールの特徴についてわかりやすく紹介していきます。

この記事は、こんなことを知りたいあなた向けです。

  • 品川区にどんな醸造所があるのか
  • それぞれがどんなビールを造っているのか
  • どこへ行けば、造りたてを飲めるのか
  • 持ち帰りや量り売りで手に入る店はあるか

読み終えるころには、品川区で行ってみたいブルワリーと、飲んでみたい一杯が見つかります。

品川区の醸造所は運河沿いから商店街まで散らばっている

品川区の醸造所は運河沿いから商店街まで散らばっている

品川区の醸造所は、ひとつも同じ街にありません。

天王洲アイル、大崎、五反田、荏原中延と、それぞれ別の駅の近くに散っています。

散らばったのは、品川区のなかで土地の性格が変わるからです。

東の端は運河に囲まれた埋立地で、寺田倉庫の倉庫街が広がります。西へ進むと大崎の工場地区があり、さらに西は戸越や中延の商店街と住宅地です。海から内陸へ移動すると、街の顔が3回変わります。

天王洲エリアの醸造所

天王洲エリアの醸造所

天王洲アイルは、運河に囲まれた埋立地です。

美術品を保管する寺田倉庫の倉庫街が続き、水辺にレストランと醸造タンクが並びます。

T.Y. HARBOR BREWERY:1997年から運河沿いの倉庫で造り続けている

東品川の運河沿いにある古い倉庫を改装して、1997年4月に開きました。

小規模な醸造が認められた1994年の酒税法改正から、3年後のことです。以来、天王洲で造り続けています。

定番はペールエール、アンバーエール、ウィートエール、インディアペールエール、インペリアルスタウトの5種類です。

アメリカンスタイルのエールが軸で、季節限定のビールも入れ替わります。

2017年11月には、300リットルのタンクを3本入れたパイロットブルワリーを増やしました。

実験的なビールや、ほかの醸造所とのコラボレーションを少量で試すための設備です。

そして2026年3月22日、メインの醸造所が隣の倉庫へ移りました。

新しい施設の名前は「BREWS」です。開業から30年近く使った設備が古くなったための入れ替えで、缶に詰める機械も新しく入りました。

BREWSには、NOZY COFFEEの天王洲焙煎所が同居しています。

醸造タンクが正面に据えられ、直売のスペースと客席もあります。キャットウォークから醸造所を見て回るツアーも予定されています。

レストランのほうは、運河に張り出した水上ラウンジ「River Lounge」を持つ約350席の大きな店です。

テラス席から水面を眺めながら飲めます。

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大崎エリアの醸造所

大崎エリアの醸造所

大崎駅と大井町駅のあいだには、いまも工場と倉庫が残る一角があります。

神田でピザ店を営む会社が、自分たちで造るための醸造所を構えました。

Devil Craft Brewery:シカゴピザの店が自分のために建てた醸造所

品川区広町にあります。大崎駅と大井町駅の中間にあたる工場地区です。

始まりは2011年、3人のアメリカ人が神田で開いたピザとビールの店でした。

店で出すビールを自分たちの手で造るため、2015年に品川区へ醸造所を構えました。

深い器のような生地に具を詰めるシカゴピザに合わせて、ビールを自分で設計できるようになりました。

造るのはアメリカンスタイルが中心です。

ジューシーな「Devil Juice」、ホップの香りが立つ「Strata Slam」、軽やかな「Angel Crush」、ローストの効いた「Dark Shine」などがあります。

仕込みは週に数日、少量ずつです。2018年からは今村淳一さんが醸造を担当しています。

季節限定や実験的なビールも入れ替わりで登場します。

醸造所は普段は非公開です。

「Devil Craft Open Brewery Day!」というイベントの日だけ開放され、発酵タンクと熟成タンクを見られます。

品川区でDevil Craftのビールを飲むなら、五反田店が近道です。

JR五反田駅の西口改札から徒歩1分、誠實ビルの9階にあります。

五反田エリアの醸造所

五反田エリアの醸造所

東急池上線の五反田駅と大崎広小路駅のあいだは、高架の下がまるごと商業施設になっています。

「池上線五反田高架下」と呼ばれる一角に、醸造所つきのレストランがあります。

Far Yeast Tokyo Brewery & Grill:高架下で少量と実験のビールを仕込む

JR五反田駅から徒歩3分、西五反田にあります。

建物ができたのは2018年で、最初は別の会社のブルーパブが入っていました。前の店が2020年8月に閉じたあと、山梨県小菅村に本拠を置くFar Yeast Brewingが引き継ぎ、同年10月14日にグランドオープンしています。

醸造設備も引き継いで、そのまま「東京醸造所」として使っています。

最初の仕込みは2021年1月7日、店に出したのは同じ月の30日でした。

東京醸造所で仕込むのは、小菅村の源流醸造所で造るには量が少なすぎるビールと、実験的なビールです。

本拠地の大きなタンクでは試せない仕込みを、東京側で回しています。

タップは20あります。

看板の「馨和 KAGUA」とFar Yeastシリーズに加えて、国内外のゲストビールも並びます。

料理はグリルが中心です。大山どりのハーブグリル、国産牛のグリル、ナポリピッツァ、シャルキュトリなどです。

店内75席にテラス30席、天井が高くガラス張りの造りです。

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荏原中延エリアの醸造所

荏原中延エリアの醸造所

荏原中延は、アーケードの商店街が続く住宅地です。

東急池上線の荏原中延駅から中延駅まで、約330メートルの「なかのぶスキップロード」に約50軒が並びます。

イカリ醸造:パブがなくなって、醸造所のほうが残った

荏原中延駅から徒歩30秒、中延にある小さな醸造所です。

造っているのはイギリス人のガース・ロバーツさん。1998年に目黒通りで英国パブ「目黒タバーン」を開き、2014年に中延へ醸造工房を作りました。

順番が逆になったのは2020年です。

8月に目黒タバーンが閉店し、行き場をなくしたビールを売るため、工房の名前を「イカリ醸造」に変えて9月からテイクアウトを始めました。パブが先になくなり、醸造所のほうが残ったわけです。

造るのはブリティッシュエールだけです。

シトラスの香りが立つ「カスケード」、キャラメルのような甘みのある「コロンバス」、キルケニーの後釜をねらった「アイリッシュレッド」、黒い「イカリノアール」など、レシピは10種類ほどあります。

店に並ぶのは日替わりで4種類です。

「ナカノブチャレンジャー」は中延の街を応援するために2020年11月から仕込み始めた一本で、ティーと花のような香りのするダークなペールエールです。

店は持ち帰り専門で、カップ売りと量り売りがあります。飲食店へは樽で卸しています。

開くのは夕方から夜の数時間だけで、火曜は休みです。天候によって休むこともあるので、向かう前に公式サイトやSNSの告知を確かめてください。

品川区のブルワリー巡りのポイント

品川区のブルワリー巡りのポイント

品川区は、行き先によって過ごし方が変わります。

腰を据えて食事と合わせる店もあれば、紙コップを受け取って歩く店もあります。

天王洲は造る場所と飲む場所が並んでいる

T.Y. HARBORのレストランと、醸造所のBREWSは同じ東品川にあります。

BREWSは11時から21時まで開いていて、ショップと客席があります。醸造タンクを眺めてから、隣のレストランで運河を見ながら飲むという流れが作れます。

五反田なら駅を出るだけで2軒

Far Yeast Tokyo Brewery & GrillはJR五反田駅から徒歩3分、Devil Craftの五反田店は西口改札から徒歩1分です。

自家醸造のビールを出す店が、駅の同じ側に2軒あります。

中延は買って歩く街

イカリ醸造には席がありません。カップで買って、商店街を歩きながら飲む形になります。

開いている時間が短いので、イカリ醸造を目的地にする日は先に時間を確かめてください。

醸造所そのものに入れるとは限らない

Devil Craft Breweryは普段は非公開で、開放されるのはイベントの日だけです。

造っている様子を見たいなら、タンクが店から見えるT.Y. HARBORとFar Yeastを選ぶほうが確実です。

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まとめ

まとめ

品川区のクラフトビールは、街の性格がそのまま醸造所の姿に出ています。

  • T.Y. HARBOR BREWERYは、1997年から運河沿いの倉庫で造り続けている老舗。2026年3月に醸造所を隣の倉庫「BREWS」へ移した
  • Devil Craft Breweryは、神田のシカゴピザ店が2015年に建てた醸造所。普段は非公開で、五反田店などで飲める
  • Far Yeast Tokyo Brewery & Grillは、池上線の高架下で少量と実験のビールを仕込む。タップは20
  • イカリ醸造は、イギリス人が造るブリティッシュエールの持ち帰り専門店。荏原中延駅から徒歩30秒

運河のテラスから商店街の路面店まで、同じ区のなかで景色が大きく変わります。

行きたいエリアを決めて、できたての一杯に立ち寄ってみてください。

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