秋田県で最初に生まれた地ビールを、ご存じでしょうか。

1997年9月、田沢湖のほとりにある「あきた芸術村」で醸造を始めた田沢湖ビールです。

運営するのは、民族舞踊の劇団として知られる株式会社わらび座でした。

田沢湖ビールは、世界一を3つ持っています。

アルトはワールド・ビア・アワードのアルト部門で2011年と2012年に世界一。

ピルスナーはドルトムンダー部門で2014年から4度の世界一。

ケルシュも2013年にケルシュ部門で世界一に選ばれました。

さらに、秋田の森と桜から自分たちで酵母を見つけ出した銘柄もあります。

「田沢湖ビールってどんな味なの?」

「どこで飲めるの? どこで買えるの?」

「どの銘柄から試せばいいの?」

この記事では、田沢湖ビールの歴史から定番6種類の味わい、買い方までを紹介します。

読み終えるころには、飲んでみたい1本が決まっているはずです。

田沢湖ビールとは

田沢湖ビールとは

田沢湖ビールは、秋田県仙北市の「あきた芸術村」の中にある醸造所です。

1997年9月、秋田県第一号の地ビールとして誕生しました。

オープン当初の銘柄はアルト、ケルシュ、バイツェン、ダークラガーの4種類でした。

掲げているスローガンは「3リットル飲めるビール造り」。

初代工場長がドイツ研修で聞いた「うまいのか、まずいのか、とりあえず3リットル飲んでから決めてくれ」という言葉が由来です。

飲むほどに次の一杯が欲しくなる、みんなで楽しく飲めるビールを目指しています。

原材料は、ドイツの「ビール純粋令」の精神を受け継いだ組み立てです。

モルトはローストモルトに定評のあるドイツ・ワイヤーマン社製。

ホップはチェコ産のファインアロマホップ「ザーツ」を100%使っています(一部の限定商品を除く)。

仕込み水は、奥羽山脈・和賀山塊の伏流水です。

和賀山塊は日本一のブナの巨木が育つ山域で、秋田県で最も広い原生林が残っています。

和賀山塊の超軟水を使い、すっきりとした味わいに仕上げています。

ブランド名 田沢湖ビール
運営 株式会社あきた芸術村
所在地 秋田県仙北市田沢湖卒田字早稲田430
電話番号 0187-44-3988
醸造開始 1997年9月
公式サイト beer.warabi.or.jp

※2026年9月時点の情報です。

田沢湖ビール 3つの特徴

田沢湖ビール 3つの特徴

田沢湖ビールには、ほかの醸造所にはない強みがあります。

歴史、受賞歴、そして酵母です。

特徴1:秋田県で最初の地ビールとして生まれた

話は1994年にさかのぼります。

酒税法が緩和され、ビール醸造の免許取得に必要な年間最低製造量が2,000キロリットルから60キロリットルまで引き下げられた年です。

地ビール解禁と呼ばれる規制緩和です。

秋田県で最初に注目し、動き出したのが株式会社わらび座でした。

わらび座は、民族伝統をベースにした舞台作品で全国公演を続ける劇団です。

1953年から田沢湖町(現在の仙北市)に本拠を置き、わらび劇場や温泉宿泊施設をつくってきました。

地ビールも「新しい文化の創造」という視点から魅力がある、という判断でした。

劇団が始めた地ビール、という成り立ちが田沢湖ビールの出発点です。

特徴2:世界一に輝いた銘柄を3つ持つ

イギリスで開かれるワールド・ビア・アワードは、世界一のビールを決めるコンペティションです。

田沢湖ビールは、定番のうち3銘柄でスタイル別の世界一を獲っています。

アルトはアルト部門で2011年と2012年。

ケルシュはケルシュ部門で2013年。

ピルスナーはドルトムンダー部門で2014年、2017年、2018年、2019年と4度の受賞です。

ヨーロピアン・ビア・スターでも、アルトがデュッセルドルフスタイルアルトビール部門で金賞を重ねてきました。

本場ドイツのスタイルを、本場の審査で評価されている造り手です。

特徴3:秋田の自然から酵母を見つけ出した

多くのビールは、水以外のほとんどの材料を輸入に頼っています。

輸入に頼らない造りを目指して、「水だけでなく、酵母も秋田のものを使った地ビールをつくろう」という声が上がりました。

酵母を探すために秋田県麦酒醸造技術研究会が発足しました。

県内各地で集めた樹液や土壌から、200株以上の酵母を分離。

研究開始から半年後、ぶなの樹から採れた樹液が、ようやく美味いビールの条件を満たす酵母として見つかりました。

1000種類以上のうち796番目に見つかったことから、796酵母と名づけられています。

桜の酵母も同じ方法で探し出しました。

県内の桜の名所の花や樹液から300のサンプルを集め、最も香り高い酵母を選び出したのです。

アルコールを作る力が弱く難航しましたが、醸造特性の優れた酵母と交配させることで完成しました。

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定番ビール6種類のラインナップ

定番ビール6種類のラインナップ

田沢湖ビールの定番は6種類。

すべてアルコール度数5%、賞味期限180日間、330ml瓶と15リットル樽で展開しています。

それぞれの味わいを、スペックと5段階の評価つきで紹介します。

アルト

田沢湖ビール不動の人気No.1です。

さわやかなホップの苦みと、麦芽の風味がきいた滑らかな口当たり。

色は赤褐色で、光にかざすとより赤く見えます。

アルトはドイツ語で「古い」を意味します。

デュッセルドルフの特産ビールとして、肉体労働者の体力を養う一杯として愛されてきました。

上面酵母を使い、3週間以上かけてじっくり熟成させる伝統製法を忠実に守っています。

スタイル ジャーマンアルト
アルコール度数 5%
IBU 29
発酵方法 上面発酵
商品規格 330ml瓶・15L樽

項目 評価
コク ★★★★☆
キレ ★★★☆☆
苦み ★★★★☆
酸味 ★☆☆☆☆
甘み ★★☆☆☆

ワールド・ビア・アワードのアルト部門で2011年と2012年に世界一。

ヨーロピアン・ビア・スターでも金賞を重ねています。

ジューシーな肉料理と合わせると、持ち味がよく分かります。

ピルスナー

クラフトビールが初めての人におすすめしたい1本です。

美しく黄金色に輝く色合いと、スッキリ爽快なのど越し。

モルトの味わいも楽しめる、ひと味違うピルスナーです。

スタイル ドルトムンダー
アルコール度数 5%
IBU 22
発酵方法 下面発酵
商品規格 330ml瓶・15L樽

項目 評価
コク ★★★☆☆
キレ ★★★★★
苦み ★★★☆☆
酸味 ★☆☆☆☆
甘み ★★☆☆☆

ワールド・ビア・アワードのドルトムンダー部門で、2014年、2017年、2018年、2019年と4度の世界一に輝きました。

麦芽とホップと水以外を使わない、伝統的なドイツビールの精神を守った1本です。

ケルシュ

ほのかに果実の香りがする、すっきりとやさしい味わいのビールです。

ビールがあまり得意でない人にも人気があります。

発泡性が強くないため、お腹が膨れにくく、つい飲みすぎてしまう1杯です。

のど越しではなく、ビールの味そのものをじっくり楽しむタイプになります。

スタイル ジャーマンケルシュ
アルコール度数 5%
IBU 13
発酵方法 上面発酵
商品規格 330ml瓶・15L樽

項目 評価
コク ★★☆☆☆
キレ ★★★★☆
苦み ★★☆☆☆
酸味 ★★☆☆☆
甘み ★★★☆☆

ワールド・ビア・アワード2013のケルシュ部門で世界一を獲得しました。

初代工場長が社長やスタッフとドイツを巡り、うまいと感じた味を手本に造られています。

バイツェン

バナナのようなフルーティーな香りが立つ、個性派のビールです。

小麦麦芽を大量に使い、独特の酵母で発酵させています。

クリーミーな泡と、少し粘り気を感じるほどの滑らかな口当たりが特徴です。

スタイル ヘーフェヴァイツェン
アルコール度数 5%
IBU 13
発酵方法 上面発酵
商品規格 330ml瓶・15L樽

項目 評価
コク ★★★★☆
キレ ★★☆☆☆
苦み ★☆☆☆☆
酸味 ★★☆☆☆
甘み ★★★★☆

ジャパン・アジア・ビアカップのヴァイスビール部門で2011年に金賞、インターナショナル・ビア・コンペティション2012でも金賞を受賞しています。

ビールの奥深さを知りたい人に、一度は試してほしい味わいです。

ブナの森

日本で唯一、ぶなの天然酵母を使ったビールです。

森林浴を思わせる優しい香りと味わいで、甘みがありながら後に残りません。

796酵母は通常の酵母の2倍から3倍の発酵期間を必要とします。

手間と時間をかけてでも秋田の酵母で造る、という意志がそのまま形になった1本です。

スタイル スペシャル
アルコール度数 5%
IBU 13
発酵方法 上面発酵
商品規格 330ml瓶・15L樽

項目 評価
コク ★★★☆☆
キレ ★★★★☆
苦み ★★☆☆☆
酸味 ★☆☆☆☆
甘み ★★★★☆

日本でほかに飲めるところがない味を試したい場合は、ブナの森を選んでみてください。

桜こまち

日本で初めて桜の天然酵母を使ったビールです。

桜の花びらから採れた「秋田美桜酵母」で仕込んでいます。

さくらをイメージした淡紅色で、華やかな香りとキレのある味わいが同居します。

スタイル スペシャル
アルコール度数 5%
IBU 13
発酵方法 上面発酵
商品規格 330ml瓶・15L樽

項目 評価
コク ★★☆☆☆
キレ ★★★★☆
苦み ★★☆☆☆
酸味 ★★☆☆☆
甘み ★★★☆☆

お花見の席はもちろん、一年を通して春を思わせる上品な1本です。

見た目が華やかなので、贈り物にも向いています。

限定醸造ビールも見逃せない

限定醸造ビールも見逃せない

定番6種類のほかに、限定醸造のビールが季節ごとに登場します。

コラボレーションから生まれた個性的な銘柄が多いのが特徴です。

代表的なものを紹介します。

「ドラゴンハーブヴァイス」は、のど飴で知られる株式会社龍角散とのコラボレーションです。

龍角散のハーブパウダーを副原料に使い、2019年4月に発売されました。

「ダークラガー」は、黒ビールが苦手な人にすすめたい本格派です。

深いコクと苦味を持ちながら、飲みやすく仕上げています。

「サマーブリュットIPL」は夏の限定醸造。

柑橘系を思わせるホップの鮮烈な香りと、キレのあるクリーンな飲み口が持ち味です。

東北の醸造所が集まる「東北魂ビールプロジェクト」で醸造した「東北魂 ハルノアイ ペールラガー」も生まれています。

訪れる時期によって出会える銘柄が変わるのも、田沢湖ビールの楽しみ方のひとつです。

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ビールを造る2人の工場長

ビールを造る2人の工場長

田沢湖ビールの味を語るうえで、2人の工場長は欠かせません。

ラインナップを造り上げた初代と、味を受け継いだ2代目です。

それぞれの経歴を紹介します。

初代工場長・小松勝久

1996年入社。オープンから2018年9月まで工場長を務めました。

入社前はホテルマンとして料理や飲み物を提供する仕事をしていました。

転機は、勉強のために取り寄せた世界中のビールでした。

味わいや色、香りの違いに衝撃を受け、すぐにビールの虜になります。

研修としてドイツへ渡り、醸造所での研修の合間にもドイツ中を飲み歩いたといいます。

帰国後、地元企業のわらび座が地ビール事業を立ち上げるにあたり、醸造責任者として入社しました。

現在のラインナップのほぼすべてを造り上げた人物です。

2代目工場長・佐々木純一

2007年入社、2018年10月に工場長へ就任しました。

秋田県出身で、学生時代からお酒の醸造に興味を持ち、高校の生物工学科で酵母や培養を学んでいます。

新潟県の専門学校醸造科でさらに知識を深めてから、田沢湖ビールへ入社しました。

初代工場長のもとで11年の修業を積み、工場長になってからはコラボビールや新しい副原料の開発にも力を注いでいます。

掲げているのは、クリアで雑味のないビールを造ること。

クリアにすることで、繊細な酵母の香りを楽しんでもらえるという考え方です。

飲んだ人が楽しくなって、いつの間にか3リットル飲んでしまうビールを目指しています。

あきた芸術村のボトルショップで買う

あきた芸術村のボトルショップで買う

醸造所に併設されていたレストランは、営業を終了しました。

現在はボトルショップで購入できます。

あきた芸術村を訪れた際に立ち寄れる場所です。

あきた芸術村には、わらび劇場や温泉宿泊施設もあります。

舞台を観て、温泉に入って、ビールを買って帰る。

一日かけて過ごせる場所です。

店舗情報

ボトルショップは日曜が定休日です。

店舗名 田沢湖ビール ボトルショップ
所在地 秋田県仙北市田沢湖卒田字早稲田430
営業時間 10:00〜16:00
定休日 日曜
電話番号 0187-44-3988
公式サイト beer.warabi.or.jp

※2026年9月時点の情報です。営業時間や定休日は変わることがあります。訪問前に公式サイトで最新の情報をご確認ください。

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田沢湖ビールを購入する方法

田沢湖ビールを購入する方法

現地まで足を運べない場合も、田沢湖ビールは楽しめます。

公式のオンラインショップが用意されています。

どこから試すか迷ったときの選び方を紹介します。

まずは飲み比べセットからどうぞ

初めて飲む場合は、種類を選べるセットが向いています。

アルトの麦芽の風味、ピルスナーののど越し、バイツェンのバナナのような香り。

タイプの違う銘柄を並べると、酵母で個性をつけるという田沢湖ビールの考え方がはっきり分かります。

好みの銘柄が見つかったら、次は単品のセットへ進むと無駄がありません。

ふるさと納税で受け取る

秋田県仙北市のふるさと納税でも、田沢湖ビールを選べます。

世界一を受賞した銘柄が入った6種の飲み比べセットや、6か月連続で届く定期便も用意されています。

寄付の枠が余っている場合は、返礼品として受け取るのも手です。

ふるさと納税がなぜお得なのかについて知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

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まとめ

まとめ

田沢湖ビールは、1997年に秋田県第一号の地ビールとして生まれました。

劇団わらび座が「新しい文化の創造」として始めた事業が、四半世紀を超えて続いています。

ドイツの伝統スタイルを守り抜いた結果が、3つの世界一という形で表れました。

アルトはアルト部門の世界一。

ピルスナーはドルトムンダー部門で4度の世界一。

ケルシュはケルシュ部門の世界一。

さらに、796酵母のブナの森と秋田美桜酵母の桜こまちという、秋田の自然から生まれた2本があります。

田沢湖を訪れる機会があれば、あきた芸術村にも足を運んでみてください。

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