秋田県のクラフトビール醸造所まとめ!なまはげIPAから横手産ホップまで個性派ブルワリーを徹底紹介
秋田といえば、日本酒の国というイメージが強いかもしれません。
けれど秋田では、1997年に県内第一号の地ビールが生まれてから、新しい醸造所が次々と誕生しています。
2023年に男鹿市、2024年に横手市、2025年に大仙市。
なまはげの名を冠したIPA。
日本で唯一、ぶなの天然酵母で醸すビール。
閉じた銭湯を改装した醸造所。
使う素材も、造る場所も、秋田のものです。
「秋田にはどんな醸造所があるのだろう?」
「旅行のついでに立ち寄れるタップルームはあるだろうか?」
「秋田のビールに合う料理を知りたい」
この記事では、秋田県のクラフトビール醸造所をエリア別に紹介します。
醸造所ごとの成り立ちから、秋田グルメとのペアリングまで。
読み終えるころには、秋田のビール旅の行き先が決まっているはずです。
目次
秋田市エリアの醸造所

秋田市には、旧市街と秋田駅の周辺に醸造所が集まっています。
造り酒屋を前身とする老舗から、銭湯を改装した新顔まで、成り立ちはさまざまです。
いずれも秋田駅から徒歩か短いタクシー移動で行ける距離にあります。
秋田あくらビール
1997年創業の老舗ブルワリーです。
旭川に面した建物は、もともと造り酒屋でした。
酒屋としての役目を終えた今も、風情ある佇まいは当時のまま残っています。
発酵王国と呼ばれる秋田の造り酒屋の魂を受け継ぎ、ドイツ流の醸造を範としたビールを造っています。
すべてのビールに秋田産のホップや素材を使うのが、あくらビールの流儀です。
看板銘柄は「なまはげIPA」。
公式サイトによれば、世界一に輝いたインディアペールエールです。
ビター&フルーティな味わいと、豊かなアロマが持ち味になっています。
ほかにも、ミュンヘナーヘレスの「秋田美人のビール」、あきたこまちを使った「あきたこまちIPL」、吟醸香が芳醇な「あきた吟醸ビール」、古代米を使った「古代米アンバー」、秋田米サキホコレと秋田美桜酵母を合わせた「サキホコレ Brut IPA」が並びます。
2022年からは、プロバスケットボールチームの秋田ノーザンハピネッツが運営を担っています。
醸造所の2階には、直営レストラン「ビアバールあくら」があります。
1階のブルワリーショップでは、できたてビールの量り売りとボトルビールを販売しています。
JR秋田駅から徒歩約15分と、旅の途中でも立ち寄りやすい場所です。
BREWCCOLY(ブリュッコリー)
2018年に秋田市で醸造を始めたブルワリーです。
屋号は、Brewery(醸造所)とBroccoli(ブロッコリー)を合わせた造語になっています。
なぜブロッコリーなのか。
造り手の大好物であることに加えて、ブロッコリーの花言葉が「小さな幸せ」だからだといいます。
ビールで小さな幸せを届けたい、という願いが名前に込められています。
目指しているのは、商店街の肉屋や八百屋と並ぶ「街のビール屋さん」。
大都市ではない地方でやることに意味がある、という考え方が根底にあります。
基本に忠実でシンプルなビールづくりが、BREWCCOLYの持ち味です。
併設の「BREWCCOLY PUB」では、醸造したてのビールをそのまま味わえます。
秋田駅から歩いて行ける中通エリアにあり、仕事帰りにも立ち寄れます。
HOPDOG BREWING(ホップドッグブルーイング)
2021年に長い歴史へ幕を下ろした、秋田市最後の銭湯「星の湯」。
地域の人々を温め続けた場所に新しい命を吹き込んで、2022年に誕生した醸造所です。
ブランド名は、ビールの魂と呼ばれるホップと、世界中で愛される秋田犬を組み合わせたものです。
主役は、国内有数のホップ産地である横手市大雄地区のホップ。
柑橘系の爽やかな香りが、横手産ホップならではの個性になっています。
定番は3種類。
横手産ホップを贅沢に使いトロピカルな香りが立つ「DDH IPA」(アルコール分6.5%)。
小麦とオーツ麦による独特のにごりが特徴の「DDH HAZY IPA」(同5.5%)。
秋田市の農園のあきたこまちを使い、食事に寄り添う「あきたこまちゴールデンエール」(同5.0%)。
果実酒の製造免許も取得しており、秋田県産りんごのハードサイダーも造っています。
ふじ、紅玉、紅の夢といった品種を使い、りんご果汁の糖分をすべて発酵させた辛口の仕上がりです。
月に1回、醸造所の試飲スペースを開放する「ブルワリー開放DAY」を開いています。
予約制の醸造所見学もあり、銭湯だった建物を見ながら試飲を楽しめます。
男鹿市エリアの醸造所

なまはげで知られる男鹿半島にも、醸造所があります。
男鹿の海塩を使ったビールを、窯焼きピザとともに味わえる一軒です。
JR男鹿駅から歩いて行けるので、車がなくても訪ねられます。
Brasserie Ogresse Quete(ブラッスリー オグレスクエット)
2023年、男鹿市船川港にオープンしました。
1階が醸造所、2階がビアパブ&カフェという造りになっています。
店名のOgresse Queteには「女性鬼の冒険」という意味が込められています。
造り手の平潟秀俊さんは男鹿市の出身。
20歳で秋田を離れ、茨城県の化学メーカーで20年間勤めたのち、故郷に戻りました。
秋田市でベルギービール専門店を営むなかで、いつしか自分で醸したいと考えるようになったといいます。
出発点にあったのは、苦いビールが飲めない奥さまの存在でした。
唯一飲めるというベルギーのランビックビールにたどり着くことを、最終目標に掲げています。
最初に醸したビールが「OGA SALT SOUR」。
男鹿の塩と乳酸菌で仕込んだ、フルーティで酸味のあるゴーゼスタイルです。
すっきりとした酸味、ほのかな塩味、クリーミーな泡立ち、コリアンダーシード由来の柑橘系の風味が重なります。
料理は500℃のペレット窯で一気に焼き上げる欧風ピザ。
大きな窓からは、鳥海山と船川漁港、寒風山を望めます。
バーカウンターには、専用グラスで味わうベルギービールも限定で並びます。
ピザ生地の熟成に時間がかかるため、来店は前日までの予約制になっています。
ビールを買いに立ち寄るときも、電話で確認してから向かうのが確実です。
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仙北市・田沢湖エリアの醸造所

田沢湖のまわりには、秋田の地ビールの草分けといえる醸造所があります。
湖と山にはさまれた土地で、それぞれ独自のビールを育ててきました。
観光と組み合わせて訪ねやすいのも、田沢湖エリアの魅力です。
田沢湖ビール
1997年9月、秋田県第一号の地ビールとして誕生しました。
劇団わらび座が運営する「あきた芸術村」の中に醸造所があります。
掲げているスローガンは「3リットル飲めるビール造り」。
初代工場長がドイツの研修で聞いた「うまいのか、まずいのか、とりあえず3リットル飲んでから決めてくれ」という言葉に由来します。
飲むほどに次の一杯が欲しくなる、みんなで楽しく飲めるビールを目指しています。
原料はドイツ産モルトとチェコ産ホップ。
2006年の「アルト」金賞受賞以来、ワールド・ビア・アワードやヨーロピアン・ビア・スターといった国際コンペティションで受賞を重ねてきました。
レギュラーは6種類。
人気No.1の「アルト」をはじめ、「ピルスナー」「ケルシュ」「バイツェン」が並びます。
なかでも「ブナの森」は、日本で唯一ぶなの天然酵母を使ったビールです。
「桜こまち」は、日本で初めて秋田美桜酵母を使用したビールとして生まれました。
限定醸造では、龍角散とのコラボレーションで生まれた「ドラゴンハーブヴァイス」なども登場します。
併設のレストランは営業を終了しました。
現在はボトルショップが月曜から土曜の10時から16時まで開いており、日曜は休みです。
湖畔の杜ビール
田沢湖畔に建つ「湖畔の杜レストランORAE」で醸造されているビールです。
ORAE(おらえ)とは、我が家という意味の秋田弁になります。
店内からは田沢湖を一望でき、旅の途中の食事にちょうどいい場所です。
掲げているのは、日本人の口に合う自家製ビールと、地元で採れた旬の食材の提供。
野菜は顔の見える地元農家のものを最優先し、ビールには秋田県産の米やホップ、果汁を使います。
銘柄には、あきたこまちで造る「紅こまち」や「あきたこまちラガー」、「ピルスナー」「デュンケル」などが並びます。
秋田美桜酵母を使ったビールや、横手産のぶどうを使ったラガーといった意欲作も生まれてきました。
創業当初から人気なのが「行者にんにくソーセージ」。
蔵出しビールとの相性は抜群です。
店内のシンボルは、樹齢約300年のナラの木。
椅子とテーブルは、ナラの間伐材でオーダーメイドされており、ひとつとして同じものがありません。
中央には暖炉があり、秋が深まるころにはスタッフが火を入れて客を迎えます。
冬季は、田沢湖スキー場のラウンジでも営業しています。
JR田沢湖駅から車で約15分。路線バスなら公園前で降りて徒歩約10分です。
県南エリアの醸造所

大仙市、横手市、羽後町。
秋田県南には、小さな規模で丁寧にビールを造る醸造所が並びます。
いずれも造り手の顔が見える距離感で、地元の原料にこだわっています。
Akita Brewing Company(大仙市)
2025年に開業した、大仙市では初のクラフトビール醸造所です。
大曲駅の東口から徒歩3分。元木材店の建物を、ほぼDIYでコツコツと醸造所につくり変えました。
造り手はシアトルで美味しいクラフトビールに出会い、秋田県大仙市へ移住しました。
全米のホップ生産量の約75%を誇るワシントン州で学んだ、ホップの香りと苦みを楽しめる飲みやすいビールを醸しています。
もうひとつの顔が、ロゴにもなっている看板犬の秋田犬「むぎ」。
元保護犬で、穏やかな性格で客を迎えてくれます。
現在はクラフトビールの量り売りが中心で、ビールとつまみを楽しめるタップルームを準備中です。
営業日が限られているため、訪問前に最新の情報を確認しておくと安心です。
sunao brewery(横手市)
2024年2月、横手市で初めてのクラフトビール醸造所として開業しました。
店主の津川渚奈於さんは、東京で4年間ブルワリーに勤めたのち、2023年12月に横手へ戻ってきた人物です。
開業当初は、県外の醸造所に委託したビールを提供するタップルームからのスタートでした。
2024年12月に酒類醸造免許を取得し、300リットルの発酵タンク4基で自家醸造を始めています。
自家醸造の第一弾として発売されたのが3銘柄。
酸味が特徴の「オン・ユア・マーク」、麦芽の風味を押し出した「レブ・ラガー」、そして横手産ホップで醸造したビールが横手の日常になるようにという願いを込めたウィートエール「デイリー・ライブス・オブ・ヨコテ」です。
掲げている目標は、秋田県産の原料のみで造るビール。
地元の魅力を一杯のビールに込めたい、という思いが根底にあります。
JR横手駅から徒歩9分、横手市役所やかまくら館からは徒歩2分と、歩いて行ける場所にあります。
羽後麦酒(羽後町)
日本三大盆踊りのひとつ「西馬音内盆踊り」で知られる羽後町。
人口1万5千人ほどの小さな町に、2017年6月、羽後麦酒が誕生しました。
工房は、築120年の古民家に併設されたみそ蔵をリノベーションしたものです。
羽後町の周辺には各家庭で味噌を造る風習があり、仕込んだ味噌を寝かせるための蔵が残っていました。
決して広くはないため、設備は最小限。
大きなタンクを持たず、冷蔵庫を活用した方法で醸造しています。
1回の仕込みは100リットルから120リットルほどという小ロットです。
定番は3種類。
羽後町産あきたこまちを使ったゴールデンエール「GA001」、クラフトビール入門にもふさわしいペールエール「PA001」、オレンジピールとコリアンダーを使ったベルジャンホワイト「BW001」です。
限定商品には、菊、ふきのとう、苺、ブルーベリー、桃、スイカ、酒かすといった秋田の食材が登場します。
小ロットだからこそできる、自由な発想のビールづくりが持ち味です。
好みや使用目的に応じたフルオーダーのオリジナルビールも受け付けています。
パブは併設していませんが、道の駅や町内の飲食店、オンラインで味わえます。
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秋田の醸造所が集まる「秋田県麦酒醸造技術研究会」

秋田には、県内の醸造所が名を連ねる「秋田県麦酒醸造技術研究会」があります。
田沢湖ビール、秋田あくらビール、湖畔の杜ビール、羽後麦酒、BREWCCOLY、HOPDOG BREWING、Akita Brewing Company。
県内各地の造り手が、醸造技術を持ち寄って高め合っています。
事務局は、県内第一号の地ビールを生んだ田沢湖ビールの中に置かれています。
秋田のクラフトビールには、横のつながりの中で育ってきた歴史があります。
飲み比べたときに感じる技術の確かさは、造り手同士が学び合ってきた積み重ねの上にあります。
秋田クラフトビール巡りのポイント

秋田の醸造所は、県内に広く散らばっています。
秋田市、男鹿半島、田沢湖、県南と、エリアごとに顔ぶれが違います。
旅の計画を立てるときに押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
直営店でできたてを味わう
醸造所直送のビールは、瓶や缶では味わえない鮮度があります。
秋田市のビアバールあくらやBREWCCOLY PUB、男鹿のビアパブ、田沢湖畔のレストランORAE。
いずれも醸造所と同じ敷地や建物の中にあり、造りたての一杯を飲めます。
営業日や営業時間は季節によって変わることがあります。
訪問前に公式サイトで最新の情報を確認しましょう。
醸造所見学に参加する
HOPDOG BREWINGでは、予約制の醸造所見学を受け付けています。
秋田市最後の銭湯をリノベーションした建物を見ながら、できたてのビールとハードサイダーを試飲できる内容です。
お酒を飲めない人向けに、秋田県産りんごジュースで参加できるコースも用意されています。
月に1回のブルワリー開放DAYもあるので、日程が合えば足を運んでみましょう。
通販で取り寄せる
現地まで足を運べない場合も、秋田のクラフトビールは楽しめます。
秋田あくらビールや田沢湖ビールをはじめ、Amazonや楽天などの通販で購入できる銘柄があります。
ふるさと納税の返礼品として登場することもあります。
気になる銘柄を見つけたら、まずは飲み比べセットから試してみましょう。
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秋田のビールに合うおすすめペアリング

秋田は、米も魚も漬物も揃った食の宝庫です。
地元の料理と地元のビールを合わせると、どちらの魅力も引き立ちます。
秋田ならではの組み合わせを4つ紹介します。
きりたんぽ鍋×あきたこまちのゴールデンエール
比内地鶏の出汁が効いた、秋田を代表する鍋料理。
米を使ったゴールデンエールは、すっきりとした味わいで出汁の風味を邪魔しません。
同じ米から生まれた者同士、驚くほど自然になじみます。
いぶりがっこ×IPA
大根を燻してから漬け込む、秋田の伝統的な漬物。
燻製香と塩気には、ホップの苦みがしっかりしたIPAがよく合います。
チーズと合わせれば、さらに相性が増します。
ハタハタの塩焼き×ピルスナー
秋田の県魚として親しまれるハタハタ。
淡白な白身と皮の香ばしさには、キレのあるピルスナーがぴったりです。
炭酸が口の中をさっぱりと洗い流してくれます。
稲庭うどん×ヴァイツェン
つるりとした喉ごしが身上の稲庭うどん。
小麦を使ったヴァイツェンのまろやかさが、うどんの上品な味わいと響き合います。
冷たいうどんと冷えたヴァイツェンは、夏の食卓によく似合う組み合わせです。
まとめ

秋田県のクラフトビール醸造所は、県内各地に散らばっています。
秋田県第一号の田沢湖ビール、造り酒屋を前身とする秋田あくらビール、銭湯を改装したHOPDOG BREWING。
男鹿の塩で醸すOgresse Queteや、みそ蔵から生まれた羽後麦酒まで、成り立ちは実に多彩です。
共通しているのは、秋田の素材を使うという姿勢。
あきたこまち、横手産ホップ、秋田美桜酵母、県産りんご。
土地の恵みが、そのままビールの個性になっています。
秋田を訪れる機会があれば、ぜひ醸造所に立ち寄ってみてください。
きりたんぽやいぶりがっことのペアリングも楽しみながら、秋田のクラフトビールを存分に味わいましょう。
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